2017年12月3日日曜日

チューナーとしての運用が望める今『浮幽さくら』の採択も悪くないような












浮幽ふゆさくら

チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 0/守1800
「浮幽さくら」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、
このカードを手札から捨てて発動できる。
自分のエクストラデッキのカード1枚を選んでお互いに確認する。
その後、相手のエクストラデッキを確認し、
選んだカードの同名カードがある場合、その相手の同名カードを全て除外する。
この効果は相手ターンでも発動できる。








2016年1月9日発売。
《シャイニング・ビクトリーズ 》にて登場した、所謂「手札誘発」に分類されるカード群の1種。


これまで『ABC-ドラゴン・バスター』や『SPYRAL-ザ・ダブルヘリックス』等、各デッキに於いて起点となるモンスターから終着点まで、EXデッキに重要なポストを担うモンスターを据えたデッキタイプ流行の度、採用が検討されてきた1枚。



EXデッキの特定のモンスターへの依存度が高いデッキタイプを扱う上で、発生し得る裏目として、真っ先に挙がるのがこの『浮幽さくら』といっても過言ではないでしょう。


そんな対EXデッキ用のメタとしてはトップレベルに位置するであろう『浮幽さくら』ですが、如何に優秀なカードと言えども、万能ではありません。
採用の是非に関わる程の課題もいくつか抱えていました。


  • 『浮幽さくら』の運用に於けるEXデッキの専用枠

『浮幽さくら』をメタとして用いる際には、除外したいモンスターを自分のEXデッキに採用する必要があります。
仮にメイン採用する場合、15枚という限られたEXデッキの枚数内に自身の扱うデッキが要する戦力に加え、『浮幽さくら』専用のモンスターを採用する枠を設けなければならないという事になります。
デッキによってはその様な枠を設ける事が叶わず、『浮幽さくら』の採用を断念する他無い。といったケースもあり得ます。
『浮幽さくら』共々サイドデッキに用意するプランも一般的ですが、環境デッキの固定化が進み、メイン採用も検討できる様な頃合いに意表を突いた構築を持ち込めるか否かの差は大きいでしょう。
基本的にミラーマッチを想定したトップシェアに君臨するデッキタイプが採用する際、それらに対して専用の枠を設ける必要はなくなりますが、その他のデッキに対応する為には結局専用の枠を検討する必要が生じ、この場合も大した差はありません。







  • 先攻時の運用に関する課題

基本的に「手札誘発」と呼ばれるカード群は、一部を除き自身が後攻時のゲームに於いて突き付けられるであろう理不尽な先攻展開による終局を極力避けようとした結果がメインデッキへの採用をたらしめる要因です。


とはいえ、一括りに後手を想定した「手札誘発」といっても『増殖するG』『幽鬼うさぎ』『灰流うらら』等、先攻時であっても自身が陣した先攻の盤面に加え、単体の妨害として機能するものが殆どです。



メインの段階で後手を想定しつつ先攻時もそのままマウントを取るには十分すぎる性能と言えます。


しかし、『浮幽さくら』に限ってはそういった柔軟性には一際乏しく、自身が先攻時にその利を活かした盤面形成を試みる際、手札で嵩張り、結果的に足枷ともなり得る点は他の誘発の場合も同様ですが、こちらに至っては発動条件として課せられる一文


相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合


こちらの影響から複数体のモンスターを陣した際に、妨害としての基本的な機能すらも危ぶまれるという致命的な欠点があり、状況次第では先攻時のアクションを投げ打ってまで『浮幽さくら』の発動に努めるといったお話も伺った事があります。


先攻時の盤面が単騎で構える形であれば、基本的に2体以上のモンスターを要するであろう主要な「シンクロ」「エクシーズ」「リンク」全てに対応可能ですが、先攻時にそれでは少々心許ないというのが昨今の遊戯王。


基本的に先攻時の運用について融通の効かない『浮幽さくら』。
となれば、先攻時に限っては「レベル3」「チューナー」という点を活かし、展開の一部に利用してしまうプランも視野に入ります。


しかし、「レベル3」という部分はともかく、特殊な「シンクロ」を取り入れたデッキ以外では重視される機会の少ない「チューナー」という特性は扱いづらさが目立ち、それこそそのためにEXデッキを1枠用意する必要性すらも生じる問題でした。


そんな最中、もちろん元々扱い方一つで化ける要素としては十分過ぎる性能である「チューナー」持ちの「手札誘発」ですが、《LINK VRAINS PACK》にて登場したご存知『水晶機巧-ハリファイバー』によってその付加価値の重要性は大幅に上昇する事となります。








「チューナー」の重要性


先攻時に「チューナー」モンスターとして『浮幽さくら』を有効に扱うとなれば、『浮幽さくら』を含めモンスターを複数展開する能力に長けたデッキが前提となりますが、「リンク」と好相性で抜群の汎用性を誇るトークン生成カード『トーチ・ゴーレム』の基本展開を用いた場合、『ファイアウォール・ドラゴン』の効果(2)起動まで到達可能な為、手札のモンスターを場に送り出すという点についてのクリアは容易です。




その際、『トーチ・ゴーレム』の余ったトークンと『浮幽さくら』で即座に『水晶機巧-ハリファイバー』を組んだ上で、その後の展開を思案できます。


「手札誘発」の『浮幽さくら』としてだけでなく、「チューナー」モンスター『浮幽さくら』としての運用も、強力な「リンク」モンスター『水晶機巧-ハリファイバー』の登場で一挙に現実味が増す形となりました。


メインギミックの段階で『水晶機巧-ハリファイバー』の手軽な妨害手段となる「リンク」モンスターを搭載可能なデッキは数知れず、それら全てが『浮幽さくら』の様な一抹の不安要素を内包するカードの採用に於けるハードルをグッと下げます。


まさに『水晶機巧-ハリファイバー』さまさまといったところでしょうか。







加えて、「リンク」という召喚方法自体の手軽さから、EXデッキに搭載する汎用「リンク」に展開の着地点を委ねきったデッキもある程度存在するため、『浮幽さくら』の本来の役割。
EXデッキに対するメタとしての運用もこれまで以上に無理なく行えます。


例えば無限ループや、展開力の補強として頻繁に用いられる『ファイアウォール・ドラゴン』。
先攻時にチューナーとして『浮幽さくら』を運用する際に自身が『ファイアウォール・ドラゴン』を用いる可能性もあり(前述)、元々汎用性の高い「リンク4」ですから、多くのデッキが自然に採用するカードの内の1枚といえます。
これを現在の「リンク」が蔓延した環境下では『浮幽さくら』による相手の盤面形成に対する抑止力を兼ねた採用枠として扱う事ができます。


特殊な専用カードを用いる場合を除けば、展開の補助を務める汎用「リンク」を自身が多数採用する事がイコール『浮幽さくら』に様々なデッキに対するメタとしての役割を持たせる事に繋がります。


ループや強靭な盤面形成に高い確率で絡む『ファイアウォール・ドラゴン』。
これに加えて展開の起点ともなり得る『水晶機巧-ハリファイバー』。
これらを抑えておくだけでも、その手の大量展開デッキへのメタとして十分な働きが見込めるでしょう。


もちろん突き詰めれば専用の枠も設ける必要性も生じるでしょうが、チューナーとしての価値が増幅した事により、「手札誘発」としての機能を無視できる範囲も以前に比べ大きく広がりました。



これまで、『浮幽さくら』が課題として抱えていた部分の多くは『水晶機巧-ハリファイバー』の登場、延いては「リンク」モンスターの採用率向上により改善の兆しを見せています。


チューナーという付加価値の重要性が増し、『浮幽さくら』という「手札誘発」自体の有用性も大幅に向上したのではないでしょうか。








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