2017年10月31日火曜日

『TG ワンダー・マジシャン』はかつての輝きを取り戻せるか












TGテックジーナス ワンダー・マジシャン

シンクロ・チューナー・効果モンスター
星5/光属性/魔法使い族/攻1900/守 0
チューナー+チューナー以外の「TG」と名のついたモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
フィールド上に存在するこのカードが破壊された時、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
また、相手のメインフェイズ時、
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを
シンクロ素材としてシンクロ召喚をする事ができる。








2011年2月11日発売。
《エクストリーム・ビクトリー》にて収録された「TG」に属する「シンクロ・チューナー」。


シンクロモンスターでありながら、チューナーとしての運用をも可能とする、当時は画期的且つ希少な存在であった『フォーミュラ・シンクロン』に次いで登場した2体目の「シンクロ・チューナー」。



シンクロ素材にチューナー以外の「TG」と名のついたモンスターを必要とする為、【TGメタビート】や「TG」を主張させた【TG代行天使】等では必須枠として、当時は重宝されていました。


「レベル5」シンクロとしては、決して高くない攻撃力「1900」。
しかし、シンクロ召喚時の能力、破壊された際のドローによるアドバンテージ損失の軽減、加えて貴重なチューナーであり、相手ターンのシンクロ召喚をも可能と、打点を補うに足る、総合力の高い良質なシンクロモンスターです。







「TG」の衰退に伴った使用率の低下


元来、「TG」を扱うデッキに於ける利用価値は非常に高く、主力とされていた『TG ストライカー』『TG ワーウルフ』を用いた展開は、相手フィールドにモンスターが存在し、自分のフィールドにモンスターが存在しない条件下であれば、召喚権を使用せずに、「レベル5」のシンクロ召喚が可能。
このアクションは「TG」デッキ、乃至はそれら出張セットの評価を高めました。



シンクロ召喚時に魔法・罠へ打ち込む除去効果もさることながら、素材となる「TG」モンスター個々に備わる同名以外の「TG」サーチ能力による、後続供給力の高さも魅力です。


それ故に、環境の高速化に「TG」が適応しかねる現状に於いて『TG ワンダー・マジシャン』を活用する事は困難を極め、採用率も激減。


『TG ストライカー』が一時規制を受け、再び無制限へと復帰するまでの期間にどれ程環境の高速化が進行してきたかが窺えます。


また、各デッキの主力が「シンクロ」から「エクシーズ」へ移行していった事も多大な影響を及ぼしたと考えられます。







「TG」衰退で正規のシンクロは困難も、「リンク」の助力で役目を得る。


チューナー以外の「TG」


こちらの素材指定を要する性質上、「TG」ギミックの衰退が、『TG ワンダー・マジシャン』に大きく影響を及ぼす事は明白です。


しかし、《LINK VRAINS PACK》収録。
『水晶機巧-ハリファイバー』によって僅かばかりの救済が施される事となります。



水晶機巧クリストロン-ハリファイバー

リンク・効果モンスター
リンク2/水属性/機械族/攻1500
【リンクマーカー:左下/右下】
チューナー1体以上を含むモンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
手札・デッキからレベル3以下のチューナー1体を守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン効果を発動できない。
(2):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにフィールドのこのカードを除外して発動できる。
EXデッキからSモンスターのチューナー1体をS召喚扱いで特殊召喚する。


正規のシンクロ召喚を介さずとも、『水晶機巧-ハリファイバー』の持する効果(2)を用いる事で"S召喚扱い"でエクストラデッキより、「シンクロ・チューナー」である『TG ワンダー・マジシャン』を特殊召喚できます。


"S召喚扱い"というのが肝で、シンクロ召喚時の能力をも問題なく利用可能。


このカードがシンクロ召喚に成功した時、
フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。


相手ターン中にシンクロ召喚を成すシンクロチューナーである『TG ワンダー・マジシャン』が有する魔法・罠への除去効果。
こちらを相手ターン中の妨害としても運用可能となり、正規のシンクロ召喚を狙う以上に奇襲性が増します。
加えて、召喚に際した素材の指定も「レベル」を調整する必要のない「リンク」である『水晶機巧-ハリファイバー』はぐっとハードルが下がります。


比較的スローな【TG】がスピード面で遅れを取り、環境から衰退した事により、活躍の場を失いつつあった『TG ワンダー・マジシャン』をも再びスポットライトが当たるレベルにまで引き上げる『水晶機巧-ハリファイバー』。
驚異的な超展開ルート確立等、悪用されるケースが際立つものの、こうしたカードにも新たな役割を与えるという面で捉えれば、良心的なカードとの見方も…


超高速環境の進行を助長し続ける「リンク」。
《LINK VRAINS PACK》の発売は転換点となる事でしょう








2017年10月30日月曜日

『センサー万別』種族統一テーマに有効!












センサー万別ばんべつ

永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
お互いのフィールドにそれぞれ1体しか同じ種族のモンスターは表側表示で存在できない。
お互いのプレイヤーは自身のフィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在する場合には、
同じ種族のモンスターが1体になるように墓地へ送らなければならない。








《エクストリーム・フォース》収録の「永続罠」。



類似効果を備える『御前試合』『群雄割拠』。


これらは環境デッキへのメタとして、多くの役割を担ってきた、サイドボードの定番カードと評しても遜色無いピーキーなカード群。


主力となるモンスターが属性統一されているデッキを使用し、環境の上層に位置するデッキ群が扱う主力モンスターの属性が"ばらけている"もしくは、「シンクロ」「エクシーズ」等の先と"異なる"場合に大きな効力を得られるのが『御前試合』。


同様に「種族」の統一がなされたデッキが、異なる「種族」を扱うデッキに対して有効なメタとなるのが『群雄割拠』となります。


このタイプに於ける強みは、既に相手が複数体「属性」や「種族」の異なるモンスターを展開していた場合に、後から撃ち込んだ際でも、その条件に則ったフィールドになる様、各プレイヤーはモンスターを墓地へ送り、調整を強いられる事となる点です。
その後、通常通り永続的に効果を適用し続け、相手のフィールド形成に対する抑止力として、堅実に機能してきました。


先撃ちが前提となりがちな「永続メタ」の中で、後撃ちでも有効に働くという点に加え、高い拘束力を有する点からか、長期に渡り高い支持を受けてきたカード。


とはいえ、デッキの多くが同「属性」や同「種族」を扱うデッキが多い環境では、メタ外の低tierデッキに対しての"保険"が精々となります。


メタカードとして環境前線でも活躍を見せてきたカード群に類する『センサー万別』。


既存のカード群との差異、有効なメタ範囲、これらについて、考えていきます。







「種族」が統一されたデッキへの抑止力


お互いのフィールドにそれぞれ1体しか同じ種族のモンスターは表側表示で存在できない。


昨今の各デッキに於ける傾向として、種族や属性を統一した物が多数存在し、先に挙げた『御前試合』『群雄割拠』が有効に働かない環境も多く見られ、メタカードとしての採用も減少を余儀なくされているというのが現状。


その現状を踏まえれば、同種族モンスターによる展開を制する『センサー万別』は、これまでのカードプールでは対応し得なかったデッキに対しても、同等の対策を講じる事が可能となります。


また、「リンク」の流行、それらの主軸となるモンスターの多くが「サイバース族」に分類されている事も『センサー万別』の価値を引き上げる要素としては十分。



問題は『センサー万別』を扱う側にも効果の影響が及ぶ点。
この事から、デッキ選択の時点から採用の可否に直結する形となります。


性質上、強力な効果を有するモンスターを前面に、単騎で攻め入るタイプのデッキであれば影響を最小限に抑えたうえでゲームを展開していく事が可能となり。
突き詰めていく事で問題点が浮き彫りになる可能性もありますが、種族に統一性のない【メタビート】へは比較的容易に組み込む事が可能でしょうか。



また、種族面はアンチシナジーとなる【インフェルノイド】ですが、それぞれ上級モンスターの性能が高く、単騎ビートに於けるクロック的問題の軽減も望めます。





総じて、テーマ特有の大量展開を用いた多数のリンクモンスターによる制圧を軸に据えるデッキへの搭載は大きなリスクを背負う可能性が高く、即ちそう言った類のデッキへは高い効力が期待できる事となります。


とはいえ、現環境トップの【SPYRAL】に対しては、メインに搭載されたモンスターはある程度「種族」がばらけており、加えて『SPYRAL-ダンディ』『SPYRAL-ボルテックス』等、解答も多く搭載されている事から、「リンク」への効力に反してメインデッキのギミックに対しては無力感が否めません。



対【SPYRAL】に於いては『センサー万別』より『御前試合』『群雄割拠』辺りを選択する方がベターな採択と思われますが、根本的なメインギミックに解答を有する点は揺るぎません。
とはいえ、抑止力としてある程度の効力は期待できる事でしょう。







複数体の同種族展開に合わせる事で成す盤面への干渉


お互いのプレイヤーは自身のフィールドに同じ種族のモンスターが2体以上存在する場合には、
同じ種族のモンスターが1体になるように墓地へ送らなければならない。


前述したように、発動時に効果に沿った状態になる様、フィールドに存在するモンスターの調整を強いるため、発動タイミングさえ図れば複数体の除去をなし得る可能性を秘めます。


この処理は各プレイヤー自身に委ねられる為、狙ったものを退ける事は叶いませんが、相手の大きいアクションに合わせる事でアドバンテージの獲得が見込めます。
ゲームの展開次第ではそう言ったタイミングに狙いを定めておく事も、効力増大に繋がるのではないでしょうか。


また、フィールドに存在する種族を1種に定める『群雄割拠』と『センサー万別』を併用する事でお互いにモンスターが1体しか存在できない状態へと陥る事に。
自らへの制約も非常に大きいですが、相手の展開を強く掣肘できます。




搭載可能なデッキは限られ、現在のtier1に対して有効とは言い難いですが、『御前試合』『群雄割拠』同様、息の長いメタカードとなり得る『センサー万別』。


長い目で見れば非常に優秀なカードと言えます。








2017年10月29日日曜日

《LINK VRAINS PACK》によって飛躍する『BF-隠れ蓑のスチーム』












BFブラックフェザーかくみののスチーム

チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/鳥獣族/攻 800/守1200
「BF-隠れ蓑のスチーム」の(2)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。
自分フィールドに「スチーム・トークン」(水族・風・星1・攻/守100)1体を特殊召喚する。
(2):このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードをS素材とする場合、
他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。








2014年5月17日発売。
《コレクターズパック-伝説でんせつ決闘者編デュエリストへん-》にて登場した【BF】に属するチューナーモンスター。


自身が場を離れる際に「トークン」を生成する効果(1)。


自分フィールドのモンスターをリリースする事で墓地から自身(チューナー)を蘇生させる効果(2)。


どちらを取ってもチューナーとして申し分無い能力を備えるものの、自身の蘇生効果使用後は


他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。


等、【BF】での運用がメインと捉えられてきたカードです。


しかし、「リンク」召喚の登場からは、トークンを生成する効果(1)。
さらに、リンク素材とする際は制約が適用されないため、自分フィールドのモンスターと墓地に存在する自身を入れ替える効果(2)にも有用性が増す事となり、頃来、評価が見直されつつある注目カードの1枚となっています。







「リンク」に於いては2体分のモンスターに


前述の様に、表側表示の自身がフィールドから離れた際に「スチーム・トークン」を1体生成する能力は「シンクロ」に於いては勿論、「リンク」素材とする事でも抜群のシナジーを発揮します。


(1):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。
自分フィールドに「スチーム・トークン」(水族・風・星1・攻/守100)1体を特殊召喚する。


先攻1ターン目のトライは不可となりますが、『副話術士クララ&ルーシカ』を経由する事で、1枚から「リンク2」「リンク3」を成せる他、複数のモンスターと合わせる事で単純にリンク素材のカサ増しとしての運用も視野に入ります。



また、トークン生成効果に回数制限は無く、効果使用後に除外される等のデメリットも設けられていません。
故に、蘇生等を介して再利用した場合、何度でもトークンを生成可能。
リンク素材供給への貢献は間違いなし。

とはいえ、この程度であれば『BFブラックフェザーかくみののスチーム』である必要性は薄く、ユニークポイントとしては弱いです。


BFブラックフェザーかくみののスチーム』飛躍の端緒となる存在。


それが、《LINK VRAINS PACK》収録。
巷で話題の『水晶機巧-ハリファイバー』です。



水晶機巧クリストロン-ハリファイバー


リンク・効果モンスター
リンク2/水属性/機械族/攻1500
【リンクマーカー:左下/右下】
チューナー1体以上を含むモンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。
手札・デッキからレベル3以下のチューナー1体を守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン効果を発動できない。
(2):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにフィールドのこのカードを除外して発動できる。
EXデッキからSモンスターのチューナー1体をS召喚扱いで特殊召喚する。


こちらのリンク素材として、リクルート先の候補として脚光を浴び、様々な連続リンク展開の補助役として期待されており、既に多くのアクションに組み込まれ、『水晶機巧-ハリファイバー』による展開幅の拡大に務めています。


※『水晶機巧-ハリファイバー』の効果(1)によってリクルートされたモンスターは効果を発動できないと記されていますが、同様の記述のある『超量士レッドレイヤー』の裁定が、「フィールドに存在する限り効果を発動できない」と扱う事から、『水晶機巧-ハリファイバー』にも同裁定が下されるのではないかと予想されています。







一見「BF」色の強い効果(2)も「リンク」によって柔軟性向上


(2):このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードをS素材とする場合、
他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。


自分フィールドのモンスターを"リリース"する事で自身を蘇生させる能力。
「シンクロ」素材として運用するうえではデメリットとなる


他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。


という一文ですが、「リンク」素材に用いる場合はこの限りではありません。


その為、フィールドのモンスターを余分に"墓地へ送る"乃至は"リリース"する事が可能となり、それらをトリガーとするモンスター効果の運用に一役買います。


リンク先のモンスターが墓地へ送られる事で、手札からモンスターを特殊召喚する『ファイアウォール・ドラゴン』。



《LINK VRAINS PACK》収録。
単体でも強力なリンクモンスターに数えられ、自身がリリースされる事によりデッキから「ドラゴン族」を呼び出す『天球の聖刻印』。



天球てんきゅう聖刻印せいこくいん


リンク・効果モンスター
リンク2/光属性/ドラゴン族/攻 0
【リンクマーカー:左下/右下】
ドラゴン族モンスター2体
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手ターンに1度、このカードがEXモンスターゾーンに存在する場合、
自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
フィールドの表側表示のカード1枚を選んで持ち主の手札に戻す。
(2):このカードがリリースされた場合に発動する。
手札・デッキからドラゴン族モンスター1体を選び、
攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。


トークンの生成に加えて、チューナーの確保を成立させる効果(2)を利用し、『BFブラックフェザーかくみののスチーム』を起点として『水晶機巧-ハリファイバー』へ繋ぐ事も可能となっており、《LINK VRAINS PACK》によって飛躍的に強化される。
大変先行きの明るいモンスターとなっています。







2017年10月28日土曜日

「リンク」に対応しきれていない『接触するG』の役割とは












接触せっしょくするジー

効果モンスター
星6/地属性/昆虫族/攻1500/守2200
(1):相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
このカードを手札から相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードのコントローラーは融合・S・X・リンク召喚を行う場合、
このカードを素材とした融合・S・X・リンク召喚しか行えない。









《エクストリーム・フォース》収録。


環境の変化と共にその効果範囲を広げ、様々なデッキへの対抗策として用いられる『〜するG』シリーズ。





その汎用性から、準制限カードにまで指定された『増殖するG』を筆頭に、『応戦するG』、『飛翔するG』と流行デッキへのメタカードとして、環境最前線に駆り出される事もしばしば。


一方で、登場時には『〜するG』へ属する事で、一時は期待はされたものの、未だ活躍の糸口が見えない物も存在します。
同じメタカードとしてのデザインといっても、それぞれの方向性に準ずるあまり、運用自体がリスクとなっては元も子もありません。


そんな、玉石混淆『〜するG』シリーズへと新たに加わった『接触するG』について、考えていきます。







相手の召喚・特殊召喚に反応


(1):相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
このカードを手札から相手フィールドに守備表示で特殊召喚する。


相手の召喚・特殊召喚時に発動と非常に緩い条件で相手フィールドに特殊召喚する能力。


「攻1500/守2200」と"タダ"なら悪く無いステータスのモンスターを相手に送りつける訳ですから、単純に考えればアドバンテージの損失となります。
しかし、そこをカバーするのが自身の効果(2)。


(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードのコントローラーは融合・S・X・リンク召喚を行う場合、
このカードを素材とした融合・S・X・リンク召喚しか行えない。


モンスターゾーンに存在する事で、自身をコントロールするプレイヤーの「融合・S・X・リンク」への制約を課す永続効果。


これらの召喚方法に『接触するG』自身を用いる事が強要され、素材の指定が設けられたモンスターを主軸とするデッキにとっては大きな痛手となります。


しかし、「星6/地属性/昆虫族/攻1500/守2200」というスペックは、「融合・S・X・リンク」の素材として使用する余地が十分存在する為、拘束力としてはあまり高いものとは言い難いです。
では、各召喚方法毎に『接触するG』の効力は「どの程度期待できるのか」。これについても触れていきます。




  • 「融合」

基本的には「〇〇+××」といった様に、素材が指定されがちな召喚方法となりますが、昨今の融合を扱うテーマは、片方をメインとなるモンスターに定め、もう片方は属性・その他のステータス等を参照し、当てはまるものならば広く素材として利用出来る物も増加傾向にあります。


そのため、こういった傾向に沿った【シャドール】、【メタルフォーゼ】、【召喚獣】の様な融合テーマに対してはあまり効果を得られず、単純に融合素材として利用されるのみとなってしまいます。








  • 「シンクロ」

レベルの調整が必須となる召喚方法である事から、デッキ次第ではシンクロの選択肢を用意できていない可能性も大いにありますので、タイミングさえ違わなければある程度の効力が期待できます。
とはいえ、チューナーは低いレベルの物が採択される場合も多く、「レベル6」は比較的利用しやすいレベルとなります。
過信は禁物といったところでしょうか。




  • 「エクシーズ」

同レベルを重ねる性質上、「レベル6」を多用するデッキでなければ『接触するG』をエクシーズ素材とすることは困難です。
そのため、効力としては前2項に比べ大きく期待できる事となります。


しかし、対「エクシーズ」に限っては『飛翔するG』の存在があり、そちらであれば素材に関係無く全ての「エクシーズ」を封じることが可能となりますが、次項で述べる『接触するG』最大のデメリットがそれと同等かそれ以上に致命的となるため、対「エクシーズ」に於いても『接触するG』の方が相対的に効果は高いと言えるかもしれません。




  • 「リンク」

こちらが『接触するG』を運用するうえで最大の問題点。
その他の召喚方法同様に『接触するG』を素材とすることを強要しますが、「リンク」の手軽さは他とは比べものにならない程容易で、「リンク」のバリエーション増加に伴い、更に効力を落とす事が予想されます。


現時点でも『プロキシー・ドラゴン』『コード・トーカー』『アンダークロック・テイカー』『セキュリティ・ドラゴン』等、『接触するG』を含めたモンスター2体で有用性の高い選択肢が豊富であるうえに、「地属性」である事から『ミセス・レディエント』の素材としても活用可能。




現状、『接触するG』を運用するうえでは全てに於いて「リンク」が致命的な弊害となる事は明白です。







専用「リンク」が蔓延すればメタとしての効力も…


現状、素材指定の緩いリンクモンスターをエクストラデッキに多数採用したデッキが多くを占め、この状態では『接触するG』が有効的な妨害としての機能は見込めません。


各テーマ毎・種族・属性等素材指定された「リンク」モンスターの流行が『接触するG』へ運用に足る"価値"を齎します。


今後、評価の転ずる機会が訪れると良いのですが…








2017年10月27日金曜日

『パーペチュアルキングデーモン』ライフを支払いダイスを振る…ギャンブル要素満載の1枚













『パーペチュアルキングデーモン』


リンク・効果モンスター
リンク2/闇属性/悪魔族/攻2000
【リンクマーカー:左下/右下】
悪魔族モンスター×2
このカードのコントローラーは、自分スタンバイフェイズ毎に500LPを払う。
または払わずにこのカードを破壊する。
このカードの(1)(2)の効果はそれぞれ同一チェーン上では1度しか発動できない。
(1):自分がLPを払った場合に発動できる。
その数値と同じ攻撃力か守備力の悪魔族モンスター1体をデッキから墓地へ送る。
(2):悪魔族モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。
サイコロを1回振り、その内の1体に出た目の効果を適用する。
●1:手札に加える。
●2~5:デッキに戻す。
●6:特殊召喚する。









《LINK VRAINS PACK》にて収録される新たなリンクモンスター。

分類としては【デーモン】に属したうえで、「悪魔族」に限定されたリンク素材の指定が施されており、【彼岸】【暗黒界】【インフェルニティ】【インフェルノイド】等、幅広いデッキに対応。


その一方で『トーチ・ゴーレム』から生成される「トークン」も悪魔族となっており、ただでさえ選択肢の多い『トーチ・ゴーレム』のリンク先候補としても検討される存在となります。







「悪魔族」を容易に2体揃える手段


前述した通り、『パーペチュアルキングデーモン』のリンク素材に指定されている


悪魔族モンスター×2


リンクに於いて驚異的なまでのアドバンテージ獲得を可能とする『トーチ・ゴーレム』によって揃えることは容易ですが、これ一辺倒では何の面白みもありません。

と言う事で、その他「悪魔族」モンスター2体を比較的手軽に揃えられる手段を挙げていきます。


  • 『魔界発現世行きデスガイド』



    言わずと知れた「悪魔族」リクルートモンスター。

    「ランク3」エクシーズを軸に据えた活躍を見せてきた『魔界発現世行きデスガイド』は「リンク」との相性も抜群。

    かつては【彼岸】のメインエンジンとして躍動するも、それが災いし"制限リスト入り"。

    また、【彼岸】に於いての基本戦術としてお馴染み『彼岸の悪鬼 スカラマリオン』によるサーチが可能。



    単発とはいえデッキ次第でゲーム中の獲得は容易となります。

  • 『幻銃士』



    度々話題に上がるも、結局は日の目を見る事のない『幻銃士』。

    こちらも召喚するだけで「悪魔族」トークンの生成が可能で、『パーペチュアルキングデーモン』のリンク条件を満たします。

    また、場合によっては複数体生成したうえで多数のマーカーを用意する事にも役立ち、「リンク」システムへの順応度が高いです。

  • 各種「彼岸」モンスター

    【彼岸】に属するモンスター群はそれぞれが特殊召喚能力を有した「悪魔族」で容易に素材を場に取揃えることが可能。

    「彼岸」モンスター2体から成る選択肢は豊富で、それぞれが目指す展開に合わせて選別していきたいところです。

  • 『終焉の焔』



    発動時に(悪魔族・闇・星1・攻/守0)の「黒焔トークン」を2体生成する速攻魔法カード。

    こちらも1枚で『パーペチュアルキングデーモン』の特殊召喚まで成るものの、『終焉の焔』発動ターン


自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。


とされており、一度セットしたうえで相手ターン中の発動が前提となります。

1枚で達成できるカードですが、他の候補と比較すると、最も勝手の悪いものとなります。







ライフを支払う行為をトリガーとし悪魔族へコンタクト


(1):自分がLPを払った場合に発動できる。

その数値と同じ攻撃力か守備力の悪魔族モンスター1体をデッキから墓地へ送る。


自分のライフを支払う行為に反応する悪魔族モンスターを墓地へ送る能力。

支払ったライフと同じ数値を攻守問わず、有するモンスターに限られる為、採用しているライフコストを要するカードとの兼ね合いを考慮した悪魔族モンスターを用意する必要があります。


ライフを1000払う事で単純に手札交換をしながら条件を満たせる『チキンレース』、「魔法・罠」への対抗手段として採用機会の多い『コズミック・サイクロン』、強力な融合モンスターを呼び出す『簡易融合』、永続カードやペンデュラムに対しては無類の強さを誇る『醒めない悪夢』。


この辺りは、『パーペチュアルキングデーモン』とのシナジーを度外視した運用が可能なうえに、ライフコストを確保できます。

これらのコストとして、1000ライフ払う事で墓地へ送ることが可能な悪魔族の中でも、有力候補となるのが


  • 『トリック・デーモン』
  • 『彼岸の悪鬼 グラバースニッチ』

といったあたりでしょうか。


『トリック・デーモン』は墓地へ送られる事でデッキから「デーモン」をサーチする能力。


  • 『トランス・デーモン』
  • 『エキセントリック・デーモン』
  • 『インフェルニティ・デーモン』

等、『パーペチュアルキングデーモン』から幅広くサーチ先を選択できます。


また、『彼岸の悪鬼 グラバースニッチ』の場合、墓地へ送られた際にデッキから「彼岸」モンスターをリクルートしますが、場に『パーペチュアルキングデーモン』が存在する状況下では、リクルートした「彼岸」モンスターは即座に墓地へ送られる事となります。

その為、『彼岸の悪鬼 ファーファレル』『彼岸の悪鬼 ガトルホッグ』『彼岸の悪鬼 スカラマリオン』辺りを絡めた間接的なサポートが主になります。


更に広くサーチの選択肢を持たせるならば、『サイコ・ブレイド』が最適。


最大2000まで100刻みで調整したうえで、その分『パーペチュアルキングデーモン』へのステータス強化となります。


加えて、自身も維持コストを支払うタイミングが存在し、それを以って効果(1)の起動も可能となっています。


このカードのコントローラーは、自分スタンバイフェイズ毎に500LPを払う。

または払わずにこのカードを破壊する。


その場合、実用性の高い候補に恵まれず、強いて挙げるとすれば墓地へ置いておくだけでも意味を成す『インフェルノイド・デカトロン』が最有力でしょう。


とはいえ、自身の維持コストを支払うタイミングは"自分スタンバイフェイズ"であり、ターンを跨ぐ前提となる点は些か不安定さを残します。

効果(1)に関しては、コンボ性は高いものの、起動から効果処理まで目立つ不安要素も僅か。

しかし、効果(2)の存在からギャンブル性の拭えないカードとなっています。







悪魔族が墓地へ送られる事をトリガーとする効果(2)


(2):悪魔族モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。

サイコロを1回振り、その内の1体に出た目の効果を適用する。

●1:手札に加える。

●2~5:デッキに戻す。

●6:特殊召喚する。


デッキから悪魔族を墓地へ送る効果(1)に反応する形でデザインされた効果(2)。

その落とされた悪魔族の処遇を決定する効果となりますがこれがなかなか厄介で、


●1:手札に加える。

●6:特殊召喚する。


これらを当てる事が叶えば御の字ですが、最も確率の高い


●2~5:デッキに戻す。


を引き当ててしまった場合、墓地へ落とす行為が無為となる可能性すら孕む事となります。

もちろん、墓地に送られた際に発動するタイプの効果に対しては、あまり影響はありませんが、折角の墓地肥やし分を損する形に。




『出たら目』を併用する事で、●2~5のデメリット部分を軽減できるものの、そこまでするほどのリターンでは無い。

というのが現実でしょう。

コンボとしては非常に面白いシナジーを見せてくれるのですが…


『パーペチュアルキングデーモン』…安定性に欠けるものの、これまでにはないトリッキーな能力に加え、マーカーの向きに重点を置く事で堅実に「悪魔族」の強化にも貢献。


しかし、《LINK VRAINS PACK》収録カード…現時点でも少々ムラがあるように感じますね。

残りの収録カードに対して、不安と期待が入り混じる、なんとも言えない心持ちとなっています。








2017年10月26日木曜日

『魔導契約の扉』を始めとする『トーチ・ゴーレム』へのアクセス手段













魔導契約まどうけいやくとびら

通常魔法
(1):自分の手札から魔法カード1枚を選んで相手の手札に加える。
その後、自分のデッキからレベル7・8の闇属性モンスター1体を自分の手札に加える。







《劇場版 遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS MOVIE PACK》にて収録された「闇属性」上級モンスターへのアプローチを仕掛ける通常魔法カード。


収録パック名の通り、「劇場版 遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」作中で使用されたカードの1枚。

主人公「武藤遊戯」が使用しました。


OCGでは


自分の手札から魔法カード1枚を選んで相手の手札に加える。


という部分のリスクが顕著となり、採用に至るケースは極めて稀なカードで、折角の広範囲に及ぶサーチを活かす事もそうは叶いませんでした。


しかし、発売当初には存在しなかった新システム「リンク」の導入により、その価値を大きく引き上げた渦中のカード『トーチ・ゴーレム』。



こちらへのアクセスが可能ということで『魔導契約の扉』の評価も徐々に見直されつつあります。


はたして「リンク」の申し子とも言える『トーチ・ゴーレム』の流行に乗る事が出来るのか。

現実的に無理のない運用は可能なのか。


思案していきます。







『トーチ・ゴーレム』によるリターンの見込みは十分。
問題は…


『魔導契約の扉』のサーチ先筆頭となる『トーチ・ゴーレム』。


その性能は確かな物で、『トーチ・ゴーレム』1枚から生み出される「リンク」マーカーの数は「8」以上。

『ファイアウォール・ドラゴン』2体+α



『トーチ・ゴーレム』の性質上、召喚権を食われるものの、『ファイアウォール・ドラゴン』を用いる事で手札のモンスターを場に送り出す事は容易で、それを利用し大量展開、場合によっては無限ループ達成のサポートまで手がけます。


現在、高いパワーを有する『トーチ・ゴーレム』は、"重い"『魔導契約の扉』のデメリットである


自分の手札から魔法カード1枚を選んで相手の手札に加える。


この行動に見合うリターンを得られる要素を十分に備えているといっても過言ではありません。

そうなってくると『トーチ・ゴーレム』を採用するうえでカサ増しとして『魔導契約の扉』という選択肢にも十分に検討の余地が生まれます。


しかしその際に引っかかる、上記のデメリットに於けるもう一つの根本的な障害。


自分の手札から魔法カード1枚


『魔導契約の扉』を運用するうえでは、この条件を安定的に満たす必要性が生じる為、必然的に「魔法カード」を多く採用する他ありません。


とはいえ、妨害に関しても「手札誘発」に頼りがちな昨今のデッキ事情が影響し、この条件を満たせるデッキは限られてきます。


メインのスロットを圧迫する事となりますが、『チキンレース』や『成金ゴブリン』と言った手札交換カードを多数採用する事でこの点の解消は見込めます。

デッキ次第では『強欲で貪欲な壺』の選択肢もあります。



しかし、『魔導契約の扉』で相手に送りつける事を考慮した場合、手札交換カードは相手にとっても有益なカードとなってしまいます。

そういった面を解消するならば、やはりテーマ単位でアクセス率の高い専用「魔法カード」を有するデッキが好ましいです。


【インフェルノイド】や【堕天使】、条件としては【SPYRAL】も当てはまりますが、こちらは使用率が異常なまでに高く、ミラーマッチに於いては手札交換カードにも劣る程相手に有益なカードを与える可能性があります。


リターンは見込めども安定した運用には少々"難あり"といったところでしょう。







その他の『トーチ・ゴーレム』のサーチ手段


『トーチ・ゴーレム』へのアクセス手段として再考されている『魔導契約の扉』。


しかし、『トーチ・ゴーレム』をサーチする手段で言えば、他にも実用的な候補が存在します。


  • 『黒き森のウィッチ』

  • 『魔犬オクトロス』



しかし、これらはモンスターで、一度場に送り出す必要があり、『トーチ・ゴーレム』の通常召喚権使用不可とする制約とはミスマッチとなります。


その点、魔法カードであるが故に何ら不安のない『魔導契約の扉』最大の利点となる訳ですね。


とはいえこちらも無策と言うわけではありません。

場を介する必要のある『黒き森のウィッチ』『魔犬オクトロス』も、「ペンデュラム」召喚を用いる事でその召喚権問題も解消可能。


【メタルフォーゼ】ならば、単体で場に送り出したこれらを破壊するまでやってのけるシナジーを魅せます。



他のモンスターと同時に「ペンデュラム」できればそのまま「リンク」召喚を介して『トーチ・ゴーレム』のサーチも成せます。


また、双方が闇属性である為、『覇王眷竜ダークヴルム』を起点とする「覇王門」ギミックとの兼ね合いも悪くありません。



こうしたシナジーを発揮するカード群を寄せ集めた「リンク」【スタンダード】なるデッキを構築するのも面白いかもしれませんね。


凶悪なカードとして名を馳せつつある『トーチ・ゴーレム』。

サブギミックとして出なく、たまにはメインに据えてみるのもまた一興。

折角の豊富なサーチ手段ですから利用しない手はありません。